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「風が強く吹いている」王子の台詞が漫画好きにぶっささる話

風が強く吹いている

 2018年秋から2クールで放送している「風が強く吹いている」。本作は箱根駅伝で頂点を目指す10人の大学生の物語。無事に箱根駅伝に出場することが決まり、19話からは箱根駅伝が始まっているわけですが、その箱根1区を走る柏崎茜こと"王子"と主人公ハイジとの会話が印象的でした。

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王子

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 「風が強く吹いている」の主人公は寛政大学4年生ハイジと1年生カケル。カケルは高校で陸上部に所属していて実力も申し分ない。ハイジもまた陸上経験者で足に怪我を負っていて一度は走ることをあきらめたが走るとは何かを追い求めて箱根駅伝を目指す。

 そんなハイジの箱根に付き合わされるのがハイジが住む竹青壮の面々。その中の一人に王子がいる。王子はいわゆる漫画オタクで狭い自室にはこれでもかというほど漫画が置かれている。

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 王子は竹青壮に住む10人の中でも一番の運動音痴。走るフォームもどこか変で箱根駅伝に出るためには出場選手が記録会で規定タイムを出さなければならない。しかし王子は本当に走るのが遅くて大丈夫なのかと常々心配だった。

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 それでも走ることを辞めず諦めず逃げ出さず、カケル指導のもと走るフォームを矯正。前を向いて走ると前髪が邪魔なので走るときは髪をあげるようになり少しずつ走るのも早くなってどうにか目標のタイムをクリアする。

 王子はいつだって自分を持っていて周りに流されない心を持っていた。最初は走るなんて嫌だと拒否していたけれどいつしか走ることが当たり前となっていた。どうして王子は投げ出さずにここまで頑張ってきたのだろうと少し不思議な感覚もあったのだが、それが第19話の王子の台詞が腑に落ちた。

導く人

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 第19話、箱根駅伝本番。王子は第1走者をまかされる。その理由をハイジはどんな時でも流されなず自分を出すことができるのは王子、君以外いないと説明している。

 箱根駅伝が始まり、王子が走っているさなか回想が入る。その回想は箱根駅伝の少し前の日のこと、ハイジが王子に対して「無理に付き合わせてすまなかった」と謝罪する場面だった。しかし王子はそれに対してこう返した。

 

「そんな言葉が聞きたいんじゃないよなあ。ジョーだって花道だって一歩も坂道も三五十五に日向に柔、セナ、吾郎、翼、リョーマ、ダメだきりがないな。僕は主人公も好きだけど彼らを導く人も好きなんです。みんな厳しい。でも当然ですよね。優しくされたいわけじゃない。勝ちたいんだから、選手は。」

 

 王子は主人公に憧れていたんだと思う。それはこの「風が強く吹いている」の主人公がハイジとカケルであって自分ではないというメタ的な意味合いも感じるけれど、純粋に多くの漫画に触れて自分もいつか主人公に、、、と思うのは誰だってあることだろう。

 そこれそ王子視点で考えれば、自分が箱根駅伝に出場するなんて夢物語。それこそ物語の主人公らしいと。そしてここまで来れたのは間違いなくハイジの存在のおかげ。だからこそ王子はハイジのことを好きだと言いたかった。その表現が「導く人」だったのだろう。

 この王子のシーンで特によかったのは主人公たちのシルエットがはっきりと描かれたところ。王子が言ったのは「導く人」だけど導く人の存在は描かず主人公だけを描いた。それは王子がそれぞれの主人公に自分を重ねているという意味合いもあると思う。そしてその主人公たちを導く人、今回の場合はそうハイジ君なんだという王子の気持ちが伝わる。特に個人的な思い入れがあるアイシールド21のセナの名前を聞いたときはこみ上げるものがありました。

 「風が強く吹いている」の主人公はハイジとカケルだから二人の物語を描かれることが多い。その裏で王子は走り出す前も後も変わらず漫画を読み続けていたのだろう。もしかすると走り始めてからはスポーツ作品を数多く読んでいたかもしれない。だからこそあの場面で彼らの名前が出てきた。勝利を目指してきた彼らの名を。

主人公 

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 「風が強く吹いている」は面白い。原作小説や実写映画は見てないですが、アニメ版がここまで面白いのは王子の存在が大きいと思う。アニメが好きな人の多くは漫画も好きだろう。だから王子に親近感を持つ人は多いと思う。その王子がここまで頑張ってきて、勝つために走っている。

 間違いなく第19話の1区を走る王子は主人公だった。感動をありがとう。

 

©三浦しをん・新潮社/寛政大学陸上競技部後援会

 

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